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JWNETからScope3カテゴリ5を算定する方法

最終更新

カテゴリ5(事業から出る廃棄物)の算定式は「廃棄物量×排出原単位」。式はシンプルですが、実務はそうではありません。この記事では、JWNET(電子マニフェスト)を起点にした実務フローを解説します。JWNETからの抽出手順、廃棄物種類のマッピング、処理方法別と種類別の原単位の使い分け、紙マニフェストの扱い、そして精度を上げる順番まで扱います。

なぜ式だけでは算定できないのか

実際に手を動かすと、次の問いに答える必要が出てきます。

つまりカテゴリ5の算定は、計算ではなく業務設計の問題です。TANSO収録企業ではカテゴリ5を377社が開示しており、算定の実施率は高いカテゴリです(カテゴリ5のランキング)。ただし排出量の規模は他のカテゴリより小さいことが多いため、精度に工数をかけすぎず、「毎年同じ手順で確実に出せる」状態を作ることが目標になります。

STEP 1|JWNETからのデータ取得

JWNETの排出事業者機能から、対象年度のマニフェスト情報を出力します。手順は、排出事業者としてログインし、マニフェスト情報の照会画面で交付年月日の範囲を対象年度に指定し、該当するマニフェストの一覧をCSV形式でダウンロードする、という流れです。事業場(排出場所)が複数ある場合は、加入者単位でまとめて出すか、事業場ごとに出すかを決め、後の集計単位と合わせます。算定に使う主な項目は次のとおりです。

項目用途
廃棄物の種類原単位分類へのマッピング元
数量・単位活動量。単位(t/m³/個)の換算ルールが必要
処分方法焼却/埋立/リサイクル別の原単位選択
交付年月日対象期間の切り分け
排出事業場拠点別の集計、対象範囲(連結/単体)の切り分け
処分受託者・処分事業場処理方法の確認先。処理方法別の原単位を使うときに必要

注意点は数量の単位バラつきです。m³や個数で登録されたものはトンへの換算ルール(比重表)を定義し、毎年同じ換算を使います。マニフェストの数量は交付時の見込み値で、処分業者からの報告で確定値が入ることがあるため、どちらを使うかも決めておきます。また、事業系一般廃棄物(オフィスの可燃ごみなど)はJWNETの対象外です。収集業者の請求書や計量票から量を把握し、別の収集シートで管理します。

STEP 2|紙マニフェストの扱い

電子化率が100%でない事業所では、紙マニフェストが残ります。実務上の選択肢は次の2つです。

  1. 紙マニフェストの綴りから台帳(Excel)へ転記し、JWNETデータと結合する
  2. 産業廃棄物管理票交付等状況報告書(年次報告)の数値を利用する

いずれの場合も、電子分との重複計上を防ぐ切り分けルールを明文化しておきます。1の方法は処分方法まで拾えるので精度は高い一方、転記の手間がかかります。2の方法は都道府県へ提出する年次報告をそのまま使えるため手間が少ないものの、報告の集計単位が種類別であることが多く、処理方法別の原単位を当てにくい点に注意します。紙の割合が小さい拠点は2で済ませ、大きい拠点は1で拾う、という組み合わせが現実的です。転記した台帳には、JWNETのCSVと同じ列(種類・数量・単位・処分方法・交付日・事業場)を持たせ、結合後の集計を一つの表で行えるようにします。

STEP 3|廃棄物分類のマッピング

JWNET上の廃棄物種類と、排出原単位データベースの分類は一致しません。「自社の廃棄物分類 → 原単位分類」の対応表を一度作り、毎年使い回すのが実務の要です。判断に迷った分類は、根拠(なぜその原単位を選んだか)をメモとして残します。

種類別(表9)と処理方法別(表8)の使い分け

環境省の排出原単位データベースには、廃棄物の原単位が2種類あります。表9(種類別)は処理方法を問わず、廃棄物の種類ごとに全国の処理実態で加重平均した値です。表8(種類×処理方法)は焼却・埋立・リサイクルなど処理方法ごとの値です。いずれも輸送分を含む値と除く値があり、廃棄物の運搬を委託しているなら「輸送含む」を使います。Ver.3.6の種類別・加重平均(tCO2e/t、輸送含む)の例は次のとおりです。

JWNETの種類(例)原単位の分類種類別・加重平均(輸送含む)
廃プラスチック類廃プラスチック類0.82
廃油廃油1.82
紙くず紙くず0.13
木くず木くず0.11
汚泥汚泥0.22
金属くず金属くず0.012
ガラスくず・陶磁器くずガラス陶磁器くず0.032
がれき類がれき類0.011

使い分けの基準は、処理方法がマニフェストで確実に分かるかどうかです。分かるなら表8、分からない・混在している・初年度で手が回らないなら表9を使います。表8の値がどれだけ違うかは、廃プラスチック類が典型です。焼却処理なら2.56 tCO2/t、リサイクルなら0.149 tCO2/t(輸送含む)と、同じ1トンで桁が違います。紙くずも焼却0.144に対しリサイクル0.021、廃油の焼却は2.93です。処理方法別に算定できると、「焼却からリサイクルへ委託先を変える」という削減施策の効果がそのまま数字に出ます。

複数の種類が混ざった「混合廃棄物」は、処分業者からの内訳報告があればそれで分け、なければ主な種類の原単位を当てて前提を記録します。売却した有価物は廃棄物ではないため対象外とするのが基本ですが、扱いは基本ガイドラインの考え方を確認し、方針を記録します。

STEP 4|算定と体制

算定自体は「処理方法別の廃棄物量×原単位」の積み上げです。計算例を示します。ある工場で年間に廃プラスチック類が40トン発生し、マニフェストで30トンが焼却、10トンがリサイクルと分かっているとします(数量は仮想の例)。

処理方法が分からず表9で計算すると、40 t × 0.82 tCO2e/t = 32.8 tCO2e です。同じ40トンでも、実態が焼却中心なら表9では過小に、リサイクル中心なら過大になります。自社の処理実態が全国平均から離れているほど、表8を使う価値が大きいということです。

むしろ決めるべきは体制です。

カテゴリ5の算定は「式」ではなく「データの通り道」を設計する仕事。JWNET→換算→マッピング→算定の流れを一度文書化すれば、翌年からは運用業務になる。

精度を上げる順番

  1. 1年目 — JWNETのCSVと年次報告の数値で全量を把握し、表9(種類別)で算定する。紙分と一般廃棄物の抜けを確認し、換算表と対応表を作る
  2. 2年目 — 量の多い種類(廃プラスチック類・汚泥・廃油など原単位が大きいもの)から処理方法別に分け、表8へ置き換える。処分受託者に処理方法の内訳を確認する
  3. 3年目以降 — 処分業者から実際の処理に基づく排出量の報告(一次データ)を受け取れる先から順に置き換える。削減側は焼却からリサイクルへの切り替え、分別の徹底による混合廃棄物の削減、発生量そのものの削減が定番で、いずれも処理費用の削減と同じ方向を向きます

データベースの構成と各表の読み方は排出原単位データベースの使い方にまとめています。原単位の値は版の更新で変わるため、使用した版(Ver.3.6など)を毎年記録してください。

ポイント: カテゴリ5はJWNETのCSV出力を起点に、単位換算・紙マニフェストの結合・種類のマッピングという「データの通り道」を設計すれば毎年回る。処理方法が分かるなら表8(種類×処理方法)、分からなければ表9(種類別・加重平均)を使い、廃プラスチック類のように焼却とリサイクルで桁が違う種類から処理方法別へ精度を上げる。
本記事は公的資料・一次情報に基づいています。実務では最新の基準をご確認ください。

この記事に関係する排出原単位(環境省DB)

環境省の排出原単位データベースを、Excelを開かずに検索・比較できるよう再構成したページです。

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