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環境省 排出原単位データベース(Ver.3.6)の使い方 — カテゴリ別の引き方

最終更新

環境省の「排出原単位データベース」は、Scope3の15カテゴリを算定するときにほぼすべての企業が引く共通の係数集です。ところが実際に開くと表1から表17まで多数のシートが並び、「自分のカテゴリはどの表を見ればいいのか」で最初につまずきます。この記事では、データベースの位置づけとシート構成、カテゴリ別に引く表の早見表、積み上げ(表4)か産業連関表(表5)かの判断、購入者価格と生産者価格の違い、Ver.3.5からVer.3.6への変更点、そしてTANSOがHTML化した版の使い方までを解説します。

データベースの位置づけ — ガイドラインとセットで使う

環境省・経済産業省の「サプライチェーン排出量算定の基本ガイドライン」(現行Ver.2.8、2026年3月)が「何を・どの範囲で・どう計算するか」の考え方を示すのに対し、排出原単位データベース(現行Ver.3.6、2026年4月リリース)は「掛ける数字」を提供します。両者はセットで改訂され、毎年3〜4月に新版が出るのが通例です。前版はVer.3.5(2025年3月)でした。

実務上の位置づけは「日本国内の二次データの標準」です。サプライヤーから一次データが取れない部分、金額しか分からない部分、社内の活動量に係数を掛ける部分のほとんどで、このデータベースの値が使われます。一次データと二次データの使い分けはこちらの記事を参照してください。

収録シートの構成

データベースは表番号ごとにシートが分かれています。TANSO版ではハブページから各シートに直接入れます。

カテゴリ別「どの表を引くか」早見表

カテゴリ主に引く表補足
Cat.1 購入した製品・サービス表5(金額)/表4(物量)初年度は表5で全量、主要品目から表4・一次データへ
Cat.2 資本財表6自社の業種の値を設備投資額(消費税込み)に掛ける
Cat.3 燃料・エネルギー関連表7電力・熱の上流。Scope2の活動量を流用する
Cat.4 輸送・配送(上流)表2トンキロ法が主力。費用ベースなら表5の運輸部門
Cat.5 事業から出る廃棄物表8/表9処理方法が分かれば表8、不明なら表9
Cat.6 出張表11/表10/表12/表13交通費支給額・人キロ・宿泊数・従業員数のどれが取れるかで選ぶ
Cat.7 通勤表14/表11/表13都市区分別の値、または通勤費支給額
Cat.8 リース資産(上流)表1/表15/表16エネルギー実績があれば温対法係数、なければ面積
Cat.9 輸送・配送(下流)表2Cat.4と同じ方法で、顧客負担の輸送分
Cat.10 販売した製品の加工表1/表5加工先のエネルギー使用量、または加工費の金額
Cat.11 販売した製品の使用表1/表17製品が消費する燃料・電気は温対法係数、表17は製品使用の原単位
Cat.12 販売した製品の廃棄表9/表8材質別の重量に掛ける
Cat.13 リース資産(下流)表1/表15/表16Cat.8と同じ考え方
Cat.14 フランチャイズ表1/表15/表16加盟店のエネルギー実績、なければ面積
Cat.15 投資該当表なし投融資先の開示値(企業データ)や金融向けの算定基準を使う

各カテゴリの範囲と考え方は15カテゴリの解説にまとめています。

積み上げ(表4)か産業連関表(表5)か — 2問で決める

Cat.1で最初に迷うのがこの選択です。次の2問で決まります。

  1. 問1: その品目の物量(重量・個数・容量)が分かるか? — 分からない(金額しか分からない)なら表5です。購入金額(百万円)×部門別の原単位で計算します
  2. 問2: 物量が分かるとして、表4にその品目があるか? — あれば表4で「物量×原単位」。なければ表5に戻り、金額で計算します

表4は素材(鉄鋼・樹脂・紙など)や一部の部品が中心で、すべての品目を網羅していません。実務では「購買データを部門(表5)に対応づけて全量を出し、金額の大きい素材から表4に置き換える」流れが標準です。表5は購入者価格ベース・2005年表で、たとえばセメント101.6、洋紙11.1、印刷・製版・製本3.0、広告1.9、情報サービス1.0(いずれもt-CO2eq/百万円)のように部門ごとに桁が大きく違うため、勘定科目と部門の対応づけが精度を左右します。Cat.1の具体的な手順はこちらで解説しています。

購入者価格ベースと生産者価格ベースの違い

産業連関表の原単位には「購入者価格ベース」と「生産者価格ベース」があります。購入者価格は買い手が実際に支払った価格で、商業マージンと運賃が含まれます。生産者価格は生産者の出荷段階の価格で、マージン・運賃を含みません。

企業の購買データは請求書ベース、つまり購入者価格です。データベースの表5が購入者価格ベースの原単位を提供しているのは、購買データにそのまま掛けられるようにするためです。生産者価格ベースの原単位を購買金額に掛けると、マージン・運賃分だけ活動量が過大になります。原単位の出典が別(海外DBや文献など)の場合は、どちらのベースかを必ず確認し、生産者価格ベースなら金額からマージン・運賃を切り分けるか、その分の排出を別途計上する必要があります。

Ver.3.5からVer.3.6への変更点

Ver.3.6では17シート・1,300セルが変更されました。主な内容は次の3点です。

どのセルが変わったかはVer.3.5→3.6の変更点にまとめています。自社が使っている表の値が変わっていれば、前年との差が「実態の変化」なのか「係数の改訂」なのかを分けて説明できるよう準備してください。

版を記録する — 第三者保証と再計算のために

算定結果には「どの版の・どの表の・どの行の値を使ったか」を必ず残します。理由は2つあります。第一に、第三者保証では係数の出典と版の照合が必ず行われ、「環境省DB」とだけ書いた算定は版の特定を求められます。第二に、基準年の再計算です。係数の改訂で排出量が動いたとき、旧版の値で計算した基準年を新版で計算し直すか、改訂の影響を注記するかを判断するには、旧版の値が手元に残っている必要があります。

実務では、算定シートに「Ver.3.6 / 表5 / 部門名 / 値」のように出典列を設け、年度ごとに使った版を算定方針書に記載します。毎年3〜4月の改訂後に、使っている値が変わったかを確認する作業を年間スケジュールに組み込んでおくと、決算期の算定で慌てません。

TANSO版の使い方

TANSOでは環境省のデータベースをHTML化して/efで公開しています。原本のExcelを開かなくても、ブラウザで表を引けるようにしたものです。

ポイント: 排出原単位データベースは基本ガイドラインとセットで毎年改訂され、現行はVer.3.6。カテゴリごとに引く表は決まっており、Cat.1は「物量が分かるか」「表4に品目があるか」の2問で表4と表5を使い分ける。購買データは購入者価格なので、表5の購入者価格ベースの値をそのまま掛ける。使った版・表・行は必ず記録し、改訂時は変更点を確認する。
本記事は公的資料・一次情報に基づいています。実務では最新の基準をご確認ください。

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環境省の排出原単位データベースを、Excelを開かずに検索・比較できるよう再構成したページです。

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