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Scope3カテゴリ12(製品の廃棄)の算定 — 製品重量×廃棄物原単位

最終更新

カテゴリ12(販売した製品の廃棄)は、自社が販売した製品と、その包装材が使用後に廃棄・処理される段階の排出を対象とします。対象は自社の手を離れた後の「他人による廃棄」なので、Cat.5(自社事業から出る廃棄物)とは範囲もデータの取り方も異なります。この記事では、Cat.5との切り分け、「販売数量×製品重量×材質構成→材質別原単位」という基本手順、環境省データベースVer.3.6の廃棄物原単位を使った計算例、家電リサイクル法対象製品や包装材の扱い、精度の上げ方、そして「耐用年数で按分しない」というよくある誤解までを解説します。

Cat.12の対象範囲 — Cat.5との違い

Cat.5Cat.12
誰の廃棄物か自社の事業活動から出る廃棄物自社が販売した製品・包装材を顧客や消費者が捨てたもの
いつ発生するか当年度の事業活動製品の使用が終わったとき(算定は販売年に計上)
主なデータ源マニフェスト・処理委託契約販売数量・製品仕様書・包装仕様書
処理方法委託先から把握できる原則不明(自治体・消費者次第)

Cat.5は自社が委託した処理の記録(マニフェスト)から積み上げられるのに対し(Cat.5の算定手順はこちら)、Cat.12には「捨てられた記録」がありません。だから販売した物の重量と材質から推計するのがCat.12の基本です。なお、製品の使用中のエネルギー消費はCat.11、販売後に顧客側が負担する輸送はCat.9で、Cat.12は「廃棄・処理」の段階だけを切り出します。TANSO収録企業では287社がCat.12を開示しており、製造業・小売業では多くの企業が算定対象に含めています。

計算手順 — 4つのステップ

基本式は「排出量 = 材質別の廃棄物重量 × 材質別の廃棄物原単位」です。廃棄物の重量は、売上台帳と製品仕様から組み立てます。

  1. 販売数量を出す — 当年度に販売した製品の数量(台数・本数・kg)。販売管理システムのSKU別出荷実績が出発点です。製品群ごとに代表SKUでまとめても構いません
  2. 製品1個の重量と材質構成を出す — 製品仕様書・部品表(BOM)から、1個あたりの重量と「プラスチック何%、金属何%、ガラス何%」という材質構成を出します。設計・品質保証部門が持っています
  3. 包装材を加える — 段ボール・プラスチックフィルム・緩衝材・取扱説明書など、製品と一緒に顧客の手に渡り捨てられるもの。包装仕様書や資材の購買実績から1個あたりの重量を出します
  4. 材質別に原単位を掛けて合計する — 材質ごとの重量(t)に、表9(廃棄物 種類別)の原単位(tCO2e/t)を掛け、合計します

表9はVer.3.6で、廃プラスチック類0.82、紙くず0.13、木くず0.11、金属くず0.012、ガラス陶磁器くず0.032(いずれもtCO2e/t、輸送含む)といった加重平均値を提供しています。処理方法が分からない前提での全国平均なので、Cat.12の初期算定にはこの表が最も使いやすい値です。「輸送含む」と「輸送除く」の2列があり、廃棄物の収集運搬まで含めるなら「輸送含む」を使います。

計算例 — 小型電気製品を年間10万台販売した場合

以下の製品重量・台数・材質構成はすべて仮の例です。原単位は上記のVer.3.6・表9の値(輸送含む)を使います。

年間販売10万台、1台あたり重量2.0kg、材質構成はプラスチック60%・金属35%・ガラス5%とします。総重量は10万台×2.0kg = 200tで、材質別にはプラスチック120t、金属70t、ガラス10tです。

次に包装材です。1台あたり段ボール0.3kg、プラスチック緩衝材0.1kgとすると、段ボール30t、プラスチック10tになります。

製品と包装材を合わせて約112 tCO2eがこの製品群のCat.12です。数字を見れば分かる通り、重量比で6割のプラスチックが排出の9割近くを占め、金属はほとんど効きません。Cat.12は「プラスチックの重量」でほぼ決まると考えて、材質構成の精査はプラスチック部分に集中させるのが効率的です。

処理方法が分かる場合 — 表8を使う判断

表9の加重平均は「焼却もリサイクルも埋立も混ざった全国平均」です。これに対し表8(廃棄物 種類×処理方法)は処理方法別の値で、廃プラスチック類は焼却処理なら2.56 tCO2/t、リサイクルなら0.149 tCO2/t(輸送含む)と、同じ1tでも17倍以上の差があります。紙くずも焼却0.144に対しリサイクル0.021です。

表8を使うべきなのは、自社の製品がどう処理されるかに根拠がある場合です。たとえば、業務用製品で自社が回収・リサイクルするスキームを運営している、リサイクルルートに乗る割合を実績で把握している、といったケースです。逆に「たぶんリサイクルされているだろう」という期待だけで表8のリサイクル値を使うと、排出量が過小になり第三者保証で指摘されます。根拠が示せなければ表9の加重平均、根拠が示せる部分だけ表8という使い分けが安全です。先ほどの例で、プラスチック120tのうち自社回収で確実にリサイクルされる分が仮に20tあるなら、その20tだけを0.149で、残り100tを0.82で計算します。

製品タイプ別の注意点

家電リサイクル法対象製品の扱い

テレビ・冷蔵庫・エアコンなど家電リサイクル法の対象製品は、材質に分解しなくても製品単位の原単位が表9に用意されています。Ver.3.6では液晶・プラズマテレビ0.166、冷蔵庫0.118、エアコン0.074、パソコン・モニタ0.064(いずれもtCO2e/t、輸送含む)です。この場合の計算は「販売台数×1台の重量×製品別原単位」になります。

たとえば、冷蔵庫を年間1万台、1台60kg(仮の例)で販売したなら、600t×0.118 = 約70.8 tCO2eです。製品まるごとの処理実態を反映した値なので、材質から組み立てるより実態に近く、しかも手間が少なくて済みます。対象製品を扱うメーカー・小売は、まず表9に製品名があるかを確認してください。表9に載っていない製品(小型家電など)は、材質構成から積み上げます。

包装材の寄与を軽視しない

製品本体に比べて包装材は軽いので後回しにされがちですが、食品・飲料・日用品・化粧品のように製品本体が食べられたり使い切られたりする業種では、Cat.12のほぼ全部が包装材になります。飲料のPETボトル、洗剤の容器、化粧品のプラスチックボトル、菓子のフィルム包装などです。この場合、包装仕様書の「容器重量」と販売本数の掛け算がそのままCat.12になり、素材がプラスチックであれば表9の廃プラスチック類、紙・段ボールなら紙くずの値を使います。

輸送用の段ボール(外箱)は、消費者ではなく小売店や納品先で捨てられますが、自社の製品に付随して廃棄されるものなので同じくCat.12に含めます。逆に、自社工場で仕入資材から剥がした包装は、自社の廃棄物としてCat.5です。

精度を上げる順番

  1. 1年目 — 製品群単位の代表値で全量を出す。SKUを製品群にまとめ、代表製品の重量・材質構成を全数に適用します。包装材は主要な資材だけでも計上します
  2. 2年目 — プラスチックの重量を精査する。排出の大半を占めるプラスチック部分について、BOMベースの材質構成に置き換えます。金属・ガラスは代表値のままでも総量への影響はわずかです
  3. 3年目以降 — 処理方法の根拠を積む。自社回収スキームやリサイクル実績のある部分から表8の処理方法別の値へ移行し、根拠を算定方針書に記録します。削減側では、軽量化・プラスチックから紙への切り替え・回収スキームの構築が、そのままCat.12の減少として数字に表れます

よくある誤解

他社のCat.12の規模感はカテゴリ12のランキングで確認できます。原単位の最新値は環境省 排出原単位データベースのTANSO版で、該当表を絞り込んで参照してください。

ポイント: Cat.12は「販売数量×製品重量×材質構成」に材質別の廃棄物原単位(表9)を掛けて出す。排出はほぼプラスチックの重量で決まるため、精査はそこに集中させる。処理方法に根拠があれば表8の値に置き換え、家電リサイクル法対象製品は製品別原単位を使う。廃棄時期にかかわらず、販売した年に全量を計上する。
本記事は公的資料・一次情報に基づいています。実務では最新の基準をご確認ください。

この記事に関係する排出原単位(環境省DB)

環境省の排出原単位データベースを、Excelを開かずに検索・比較できるよう再構成したページです。

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