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サステナ用語ミニ辞典 — 最初に覚える20語

最終更新

開示資料と当データベースを読むのに必要な用語だけを20個に絞りました。それぞれ「一言の定義」で終わらせず、実務でどう使われるか・どこに注意するかまで書いています。通読すれば主要企業のサステナビリティ報告書の排出量ページはほぼ引っかからずに読めるはずです。ブックマーク推奨です。

単位・基本

用語意味
GHG温室効果ガス(Greenhouse Gas)の略。CO2のほかメタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、HFC類・PFC類・SF6・NF3のフロン類等を含む7種類が算定対象です。「CO2排出量」と書かれていても、実際にはこれら7種を合算したGHG排出量を指していることが多いので、脚注で確認する癖をつけましょう。
t-CO2eCO2換算トン(tonnes of CO2 equivalent)。CO2以外のガスも温暖化への影響度(GWP)でCO2相当量に換算して足し合わせた、排出量の共通単位です。開示資料では千t-CO2e・万t-CO2e表記が混在するため、企業比較ではまず桁の確認が必須です。当サイトのデータはt-CO2eに統一しています。
GWP地球温暖化係数(Global Warming Potential)。あるガス1トンがCO2の何倍の温暖化効果を持つかを表す換算倍率で、メタンは約28倍、一部のフロンは数千倍にもなります。フロンの漏えいが少量でも排出量として無視できないのはこのためです。
原単位売上高あたり・生産量あたりなど、活動規模で割った排出量。規模の違う企業の効率を比べたり、事業成長と排出削減を切り分けて評価したりするのに使います。「総量は増えたが原単位は改善」という開示はよくあるパターンで、総量目標と原単位目標のどちらを掲げているかは必ず確認すべき点です。
バウンダリ算定の範囲(どの会社・拠点・活動まで数えるか)のこと。単体か連結か、国内かグローバルかで数字は大きく変わるため、企業比較・年度比較の最重要チェック項目です。組織境界の正式な決め方はGHGプロトコル入門で解説しています。

算定・データ

用語意味
排出係数活動量(kWh、Lなど)を排出量に変換する掛け率。日本では環境省・経産省がSHK制度で燃料別・電気事業者別の係数を毎年公表しており、基本的に自分で決めるものではありません。電気には「基礎」と「調整後」の2種類がある点に注意が必要です(算定ガイド参照)。
活動量燃料使用量・電力量・輸送量・調達金額など、排出係数を掛ける元になる数字。算定の実務は係数計算よりも「活動量をどれだけ漏れなく集められるか」で精度が決まります。請求書・検針票がその根拠書類になります。
一次データ取引先や自社の実測に基づくデータのこと。業界平均を使う二次データより精度が高く、取引先の削減努力が数字に反映されるのが利点です。Scope3の高度化とは、要するに二次データを一次データへ置き換えていく取り組みです(一次データと二次データ)。
二次データ業界平均や統計・データベースから推計したデータで、Scope3算定の主流です。「調達金額×排出原単位」で計算するため、単価の値上がりでも排出量が増えて見えるといった限界があります。粗くても「どこに排出が集中しているか」の把握には十分機能します。
第三者保証監査法人や検証機関が、算定方法とデータの妥当性を独立の立場で検証すること。開示の信頼性の目印であり、SSBJ開示の制度化に伴って対象が広がっていく見込みです。保証を受けるには「誰がいつどのデータで計算したか」の証跡が必要になります。

制度・イニシアチブ

用語意味
GHGプロトコルWRIとWBCSDが策定した排出量算定の世界標準ルールで、Scope1・2・3という区分の生みの親です。法律ではありませんが、SSBJ・ISSB・CDP・SBTなど主要な制度・枠組みはすべてこれを土台にしています。まず15分でわかる入門記事から押さえてください。
SSBJサステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan)、およびその開示基準の通称。ISSB基準を踏まえた日本基準を2025年3月に確定し、東証プライムの時価総額3兆円以上は2027年3月期、1兆円以上は2028年3月期から有価証券報告書での開示が適用されます。Scope3開示まで求められる点が最大のインパクトです(制度マップ)。
ISSB国際サステナビリティ基準審議会。IFRS財団の下で国際的な開示基準(IFRS S1/S2)を作っており、SSBJ基準の親元にあたります。各国がISSB基準をベースに自国基準を整備しているため、グローバル企業は実質的に共通のものさしで開示するようになりつつあります。
CDP企業の気候変動・水・森林に関する情報を質問書で集め、A〜D-でスコアリングする国際NGO。投資家と購買企業を束ねた事実上の開示インフラで、取引先からの回答要請という形で中堅企業にも届きます。スコアの読み方はCDPの解説記事へ。
RE100事業で使う電力を100%再生可能エネルギーにすることを掲げる国際的な企業連合。参加企業は再エネ調達の進捗を毎年報告します。日本企業も多数参加しており、取引先がRE100だと、そのサプライヤーにも再エネ由来の電力調達への期待が及びます。

削減・目標

用語意味
SBTScience Based Targets。パリ協定の1.5°C経路と整合する削減目標を第三者(SBTi)が審査・認定する仕組みです。「目標の水準」への認定であって実績の認証ではない点、Scope3が総排出の40%以上ならScope3目標が必須になる点を押さえてください。詳しくはSBT入門へ。
FLAG森林・土地・農業(Forest, Land and Agriculture)由来の排出のこと。食品・飲料・林業関連の企業には、通常の目標と別枠でFLAG目標の設定が求められる場合があります。土地利用の排出は算定も削減も特殊なため、独立したルールが作られました(解説記事)。
非化石証書電気から「再エネなど非化石電源で作られた」という環境価値だけを切り出して取引できるようにした証書。購入するとマーケット基準のScope2削減に使えます。トラッキング(電源特定)付きならRE100報告にも使用可能です。仕組みの詳細はScope2の2基準の記事で解説しています。
J-クレジット省エネ・再エネ・森林管理などによる国内の削減・吸収量を国が認証したクレジット。購入してオフセット(排出の埋め合わせ)に使えます。ただしSBTでは削減目標の達成手段にクレジットは使えないなど、用途にはルールがあります(カーボンクレジット解説)。
ICPインターナルカーボンプライシング。社内で炭素1トンに仮想の値段を付け、設備投資や調達の意思決定に織り込む仕組みです。GX-ETSや賦課金など実際のカーボンプライシングが迫る中、将来コストを先取りして投資判断を変える手法として広がっています(解説記事)。

用語を覚えたら、実データで確かめる

用語は実際の開示で使われている姿を見るのが一番早く身につきます。当サイトのデータベースで気になる企業を1社開き、この20語がどこに登場するか探してみてください。業種ごとの傾向は分析ページで概観できます。

ポイント: まず「t-CO2e・バウンダリ・排出係数」の3語で数字が読め、「GHGプロトコル・SSBJ・SBT」の3語で制度が読める。残りは実際の開示資料に出てきたときに、この辞典に戻って確認すれば十分。
本記事は公的資料・一次情報に基づいています。実務では最新の基準をご確認ください。

この記事に関係する排出原単位(環境省DB)

環境省の排出原単位データベースを、Excelを開かずに検索・比較できるよう再構成したページです。

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